「鉄 137億年の宇宙誌」展と「皇室の名宝 (1期)」展に行ってきた

行ってきました。展覧会の概要などは方々で紹介されているので、ここでは私の感想を書き散らしたいと思います。
※もちろん、両展とも撮影禁止だったので、画像は Web 上や手元の資料からスキャンしました。

「鉄 137億年の宇宙誌」展

画像:鉄展

鉄の誕生から現代までという途方もないスケールのためか、最新の研究成果以外の部分は広く浅く…といった感じでした。*1得に興味深かったものをちょこっと紹介。

超高純度鉄

画像:超高純度鉄

東北大学 金属材料研究所 安彦研究室より。ある意味、鉄を越えた特性(常温で塩酸とほとんど反応しない&錆びないなどなど)に、夢が広がり過ぎでゾクゾクが止まらなかった。

高機能な産業用の鋼

現代あるいは近い将来、私たちの生活・社会を支えている(支えることになる)新素材。複合組織化、アレスト特性など。頑丈さと加工のし易さを兼ね揃えていたり、素材の脆さをカバーする性質など。

鉄系超伝導

画像:鉄系超伝導体

東京工業大学 応用セラミックス研究所 細野研究室より。話題の?鉄系超伝導。銅系酸化物超伝導体は不純物に弱いが、鉄系は強い。将来、実用化の際には意図的に一部を置換することで、コストを低く抑えられるのでは、と期待されているらしい。

その他

多くの生命の活動を影で支えているP450nor。海洋中に解けている鉄の量があたえる影響。などなど、興味は尽きません。展覧会に合わせて岩波書店から本が出版されているようなので、後でチェックする予定。
会場内には研究者の方へのインタビューが結構な数ありました。時間的にほとんど見れなかったのが惜しい。Web で公開されないかなぁ。

「皇室の名宝 (1期)」展

画像:皇室の名宝展

ものすごい人の数だった。特に(人気急上昇中の)若沖の動植彩絵のコーナーは大渋滞。もう、コース半ばでヘトヘトに。

動植彩絵

今回の目玉?のひとつ。生で見るのは初めて。江戸期の作品なので、生で見ると(綺麗に印刷されたものと比べ)いくらか退色して見える。そのためか、豪華絢爛なのは間違いないのだが思ったよりも落ち着いた雰囲気といった感じ。

画像:伊藤若沖 動植彩絵 向日葵雄鶏図

様々な動物や植物が描かれているけれど、何といっても鶏が描かれた作品がダントツで見応えある気がする。あの鶏独特の躍動感、毛並みの美しさ、ありえない姿勢なのに違和感を感じない(むしろ、よりリアルに感じる)あたりがまさに神気!?*2
トロッとした雪や紅葉の淡いグラデーションも実物で見ると、今までとはまた違った印象を得ることができた。

谷文晃 虎図

画像:谷文晃 虎図

ゾクリとした。緻密の極み。様々な技法が用いられているらしい。

狩野永徳 唐獅子図屏風

画像:狩野永徳 唐獅子図屏風

これも目玉のひとつ?。バカでかい、圧倒的な迫力。それでいて穏やかな印象を受ける。もうちょっと獅子の方が大きかったかも。獅子頭は人の頭2個分はあった気がする。

酒井抱一 花鳥十二カ月図 牡丹に蝶図、立ち葵紫陽花に蜻蛉図

画像:酒井抱一 花鳥十二カ月図 牡丹に蝶図、立ち葵紫陽花に蜻蛉図

淡くて甘酸っぱい色彩に心惹かれた。

川端玉章 群猿之図

画像:川端玉章 群猿之図

モコモコでフワフワのお猿さん。

高村光雲 矮鶏置物

画像:高村光雲 矮鶏置物

あまりの精巧さに気が遠くなる。表面の質感など、どのように削り出したのか皆目見当もつかない。

*1:勝手に、製鉄法の歴史とか冶金考古学?のようなものも期待していたので少しガッカリ

*2:鶏は色も鮮やかで活き活きとしていた。近年、補修されたのかな??