いのちドラマチック「アサガオ 芸をする遺伝子」のメモ

番組詳細

タイトル: いのちドラマチック Vol.12「アサガオ −芸をする遺伝子−」
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放送日: 2010年09月02日(木)
内容:

大輪で、青や赤など鮮やかな色彩を持つ“アサガオ”。バラやナデシコのような珍しい色や形の花を咲かせるものもあり、愛好家たちは「芸をする」と言い、競い合うように育てている。アサガオが変化するのは「トランスポゾン」という遺伝子の仕業。花の色や大きさを決める遺伝子に突然入り込んで頻繁に変化を起こすのだ。芸をする遺伝子を持つがゆえに人々と深いかかわりを持ったアサガオの知られざる物語に迫る。

出演者

以下、視聴メモ。

江戸時代から様々な色や模様の朝顔が作られてきた。

  • 花びらの周りが白く縁どられた「覆輪(ふくりん)」
  • 花びらの一部分だけが色が違う「染分け(そめわけ)」
  • 霧吹きで色染めしたような「吹掛絞り(ふっかけしぼり)」
  • 花びらの先が尖った「采咲(さいさき)」*1
  • 花びらが牡丹のように重なりあっている「牡丹(ぼたん)」

中でも根強い人気があるのが、柿渋で染めたような艶やかな色合いの「団十郎(だんじゅうろう)」。名の由来は歌舞伎役者 市川団十郎。身につけていた衣装の色合いに似ていたことから。
団十郎にも種類がある。

などなど

起源

現在、日本にあるのは1000種程。その全てが一つの原種から生まれたのだという。
原種に一番近いとされる「東京古型標準型」。青一色で直径は5cm程と小さい。
朝顔奈良時代に中国から伝わった。当初、鑑賞目的は無く薬用植物(種には下剤作用がある。漢名「牽牛子」)として持ち込まれた。

朝顔が咲く時間帯

朝顔は夕闇を感知し、花を咲かせるための準備を始める。そして、深夜に花を咲かせ始め午前5時頃に満開となる。
朝日を浴びると萎み始め、午前8時頃には萎んでしまう。朝顔一年草*2、一度咲いたらお終い。

受粉

朝顔は虫の力(動物媒)を借りずに受粉できる。開花前の蕾が膨らんでいるときに、雄しべが伸びて雌しべと受粉する。
花が咲く前に受粉を終えているのだ。自家受粉できるような仕組みが獲得できたため、花が咲く必要は無くなっている。
が、動物媒を拒むわけではない。多様性確保のためか?

朝顔の多様性

トランスポゾン…DNAの中を動き回る遺伝子。ほとんどの生物がもっている。

  • 突然変異…DNA上の傷が後世に残る。
  • トランスポゾンによる変異…これも後世に伝わるが、遺伝子にトランスポゾンが割り込んでいるだけなので、ある時抜ける場合がある。

朝顔のトランスポゾンはよく動く。

  • 花びらの横幅を決定する遺伝子中に割り込んだ場合→采配
  • 青色の遺伝子中に割り込むと花びらが白色に
  • 「染分け」は一部の細胞でトランスポゾンが抜けたと考えられる

変化朝顔

愛好家や栽培家の手で育てられ、交配や突然変異を繰り返し、とても朝顔には見えない変わった形をしたものが「変化朝顔」と呼ばれている。
珍しい形態を「花芸が良い」と言うらしい。中には雄しべや雌しべまでもが花びらになってしまったものも。
花びらの数なども多いほど評価が高いようだ。「采咲」は葉が細くなればなるほど花びらも細くなると言う。
愛好家?の一人は、一年間で大量に育てるための発芽促進の方法を披露してくれた。

  1. 種の一部をヤスリで削る
  2. お湯に浸けて種の殻を柔らかくする

*1:武将が戦場でふるっていた采配に似ていることから。

*2:一年で開花・結実し、枯れる植物。